謎の空中都市 〜 世界遺産を観よう マチュピチュ編

世界遺産

世界遺産の中でも複合遺産のカテゴリーになる「マチュピチュ」。

世界遺産は文化遺産、自然遺産、複合遺産の3つに分かれますが、複合遺産は極めて少ないです。

日本の世界遺産の中にこの複合遺産のカテゴリーにはいるものはありません。

著名な人も訪れる空中都市マチュピチュ。

世界遺産検定1級の元海外添乗員taka.がご紹介します。

この記事は2024年5月時点のものです。現在とは情報が異なる場合があります。

概要

参考資料:世界遺産大辞典

登録名マチュピチュ
登録国ペルー共和国
分類複合遺産
登録年1983年
登録基準(ⅰ)(ⅲ)(ⅶ)(ⅸ)

インカ帝国の面影を残す謎の空中都市

ペルー南部、アンデス山脈にある「マチュピチュ」(ケチュア語で「老いた峰」)はインカ帝国の都市遺跡で、標高2,400m以上の高地に築かれました。

都市が誕生したのは15世紀半ばと言われています。

ペルーの主な世界遺産

  • マチュピチュ
  • ナスカの地上絵
  • クスコ
  • リマ

そもそもなぜこんなところに都市をつくる必要があったのか?

時代は大航海時代。

ヨーロッパの列強国が世界に向けて動き出した時です。

このペルーの地にやってきたのはスペイン。

歴史上の話ですし、時代背景もありますが悪いことしてましたね〜ヨーロッパ列強国は。

大航海時代

インカ帝国を築いたかつてのペルー人はこのスペインに全部持っていかれちゃったんですよ。

そのため反逆の目的で都市をつくったというのが通説です。
(諸説あり)

世界遺産マチュピチュ

マチュピチュ
マチュピチュ

マチュピチュの世界遺産の登録は1983年です。

複合遺産としての登録基準を満たしているマチュピチュ。

複合遺産とは文化遺産と自然遺産、両方を兼ね備えているものです。

世界遺産条約には、複合遺産についての定義はないのですが、作業指針の中で次のように定義されています。

世界遺産条約の第1条、第2条に規定されている文化遺産及び自然遺産の定義(の一部)の両方を満たす場合は、「複合遺産とみなす。

私見ですが、難しい書き方をしますよね。こういう条項文は。

身近の世界遺産を例に説明すると、日本の世界遺産で文化遺産に登録されているのは「姫路城」(1993年登録 登録基準(ⅰ)(ⅳ))。↓

姫路城
姫路城

自然遺産に登録されているのは「屋久島」(1993年登録 登録基準(ⅶ)(ⅸ))。↓

屋久島
屋久島

この二つの要素を兼ね備えていると言えばわかりやすいかもしれません。
(厳密には日本の文化遺産登録で、登録基準(ⅰ)(ⅲ)を満たしているものがないので近いものを例にしました)

とにかく珍しいということですね。

それだけに必見の世界遺産です。

登録基準

世界遺産の登録基準について触れますが、この「登録基準」こそが世界遺産を観るキモになります。

マチュピチュの登録基準は(ⅰ)(ⅲ)(ⅶ)(ⅹ)の4つ。

  • (ⅰ)人類の創造的資質を示す傑作
  • (ⅲ)現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。
  • (ⅶ)ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。
  • (ⅹ)絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値を持つ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。

うわー!書いててもめんどくさくなるくらいの文言。

(ⅰ)は「どうやってこんなものをつくれた?」「人間ってすごいものつくるんだな」っていう感じで観るといいかもしれませんよ。

マチュピチュ

(ⅲ)は神殿や礼拝堂があれば当時の信仰をうかがい知ることができます。

マチュピチュ

(ⅶ)は単純に「めっちゃキレイ」「写真とっとけ〜」

マチュピチュ

(ⅹ)は絶滅危惧種の動植物がいるってことです。
(滅多に見れないと思いますが……)

アンデスイワドリ
絶滅危惧種アンデスイワドリ

こんな感じで「登録基準」を知っておいて観ると見方も変わってきますし世界遺産を観るのが楽しくなると思います。

世界遺産を観るときはこの「登録基準」を知っておきましょう。

いざマチュピチュへ

マチュピチュがある国は「ペルー共和国」。

ペルーの基本情報はこちら

ペルーの直行便はありませんので、アメリカ経由が一般的。

日本→ロスアンゼルス→リマ→クスコ→マチュピチュ

せっかくのペルー観光ですからリマにもぜひ訪れてください。(世界遺産)

リマ
リマ

クスコの街も世界遺産です。

クスコ
クスコ

ツアーの場合、クスコ市内からマチュピチュへ行くには、まずミニバスを利用してオリャンタイタンボの駅へ。(所要時間約2時間)

個人で行くにはクスコからコレクティーボ(15人ほどの乗り合いバス)もしくはタクシーを利用することになります。

通貨レートは1ソル=約40円(2024年5月時点)

コレクティーボは、クスコ市内から出ていて片道10〜15ソル(約400円〜600円)

日本の感覚だとタクシーは高いイメージですが、そこはペルー。

乗る前に交渉が必要ですが、片道大体100ソル(4,000円)が最大です。

乗り合いで利用すれば人数で割れるので思ったほど高くないと思います。

マチュピチュ村へは列車(インカレイル or ペルーレイル)を使用することになります。

オリャンタイタンボの駅からマチュピチュの駅までは約1時間45分。

飲み物などを売りにきてくれます。

トイレは列車内にあります。

列車移動の際、よくお客様から聞かれるのが「どちらに座ったほうが景色がいいのか」ですが、添乗中は絶対言えないですよね。

団体で座席の範囲は決まってるわけですから。

でもここでは言います。

マチュピチュ駅行きなら進行方向左側です。(川が流れている谷側)

マチュピチュ駅からオリャンタイタンボ駅行きなら右側に座った方が景色いいですよ。

マチュピチュ駅(インカレイル)
マチュピチュ駅(インカレイル)

マチュピチュ駅からホテルまでは徒歩です。

マチュピチュの遺跡まではシャトルバスを利用します。

ツアーの場合はマチュピチュの遺跡内はだいたい3時間くらいの観光時間ですが、個人で行ってもそれくらいで観て回ることができます。

階段や坂道も多いので履き慣れた靴やスニーカーで歩きましょう。

トイレは入り口にしかありません。(有料で1ドルでおつり1ソルか2ソル)

観光する前に行っておきましょう。

マチュピチュ内
マチュピチュ内

注意すること

ペルーの添乗前にお客様に連絡する「対客電話」で多かった質問は高所に関することと治安についてがほとんどでした。

高所について

クスコの標高3,399m、マチュピチュ標高2,430m。(ティティカカ湖3,800m)

高所の対策としてマチュピチュよりクスコが要注意ですが、あまり神経質になることはありません。

確かに気にはなりますが、自身の思い込みで高山病の症状が出たりすることもあります。

筆者がお客様をお連れした中では、マチュピチュのツアーで高山病の症状が出たのは1例か2例くらいでした。

万一、症状が出たとしても現地での医療対策は万全なので安心です。

ただし、走ったり、激しい運動は控えるようにして観光を楽しみましょう。

高所対策グッズとしては、酸素缶や酸素アメといったものがあります。
(ほとんど使ってる人は見ません)

水分を十分とる、暴飲暴食をしない、タバコやアルコールは控えるといったことも高山病予防になります。

ツアーのコース選びや旅程も大事で、いきなり高所に行く行程は避けて徐々に体を慣らしていくようなコース選びや個人で行く場合も標高を考えて旅程を組みましょう。

高山病は保険の対象になりますので万一に備え、「海外旅行保険」の加入をおすすめします。

治安

海外すべてに言えることですが、決して日本より良いわけではありません。

南米ではブラジルのリオデジャネイロなどの治安の悪い都市に比べると凶悪犯罪は少ないですが、スリや置き引きは頻繁にあります。

クスコの空港やリマの空港は特に注意する必要があります。

実際に筆者の添乗中にお客様がカバンから財布を盗られることがありました。

観光の性質上、ザックを背負うことが多いので貴重品などは後ろには入れないようにしましょう。

服装

まず日本と季節が逆です。

日本の夏季は現地では冬季になりますが、リマなどの平地ではそれほど寒なることはありません。

ですが、クスコやマチュピチュは標高も高いので、現地の冬季(6月〜8月)だと最低気温は0℃になることもあります。

夏季(12月〜2月)はリマは最高気温は30℃近く、クスコは最低気温は5℃前後になりますので上着は必携です。

筆者はお客様に夏季は薄手のダウンジャケットと重ね着ができるような準備をおすすめしていました。

また、通季で日差しが強いので日焼け止め、サングラス、帽子は必携です。

まとめ

カテゴリーで「世界遺産」の最初の記事に「マチュピチュ」をあげました。

他にもご紹介したい世界遺産がたくさんありますので順次記事にしていく予定です。

ただ、世界遺産は観光目的で登録されているものではありませんので、登録物件によっては行くべきではないもの、もしくは行くことすらできないものもあります。

また、世界遺産をめぐっての観光被害やオーバーツーリズムの問題もあります。

マナーを守っての観光を楽しんでいきましょう。

JTB

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